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SPECIAL CONTENTSタクミの小さな挑戦

タクミの小さな挑戦 05

協賛ではじめる地域への応援。映画『高津川』監督・錦織良成氏が考える地域の豊かさとは

PROFILE

映画「高津川」

2022年2月に全国公開された映画「高津川」。島根県石見地方を舞台に、地域が抱える現実や課題、そして見失いがちな豊かさを提示するこの映画に、タクミ商事はメインスポンサーとして参加しました。実は、この高津川流域は、タクミ商事の代表・椋忠治郎が幼い頃に生まれ育った場所。同じく島根県出身の錦織監督が描くこともあり、協賛することを決めました。

タクミ商事が取り組む、新たな「地域密着」のかたち

タクミ商事が掲げる「地域密着」。それは、さまざまな取り組みで広がっています。 国内外問わず各地域の実情に応じて企業活動をサポートすることはもちろん、「地域」をテーマにした活動を協賛というかたちで支援することもそのひとつです。

地域のリアルを丁寧に描く、映画『高津川』

映画の舞台になっているのは、タイトル通り一級河川・高津川の流域。ダムが一つもない、この川は、たとえ台風が来た後でも濁らず、清らかな流れを保つのだといいます。

そんな美しく豊かな自然を背景に描かれるのは、地域の現実。 この土地で暮らしを営む者たちが「都会への若者の流出による人口減」「技術や祭りの伝承の存続」「大資本の参入によるリゾート開発計画」といった課題と向き合いながら自分たちの足元にある豊かさを見つめる様子が丁寧に描かれています。

今回は、映画『高津川』を製作した錦織良成監督にインタビュー。錦織監督が持つ地域への視点を伺いました。

早く都会に行きたかった子ども時代から、地域の豊かさを描く映画監督になるまで

錦織監督は地域に対してどんなイメージを持っていましたか?

錦織監督

幼い頃は、単に「田舎」というイメージしか持っていませんでした。私の地元・島根県出雲地域なんてまさにそう。テレビで流れるのは東京の情報ばかりで、都会に憧れていましたね。だから「早く島根を出て都会に行くんだ」とばかり考えていました。

そこから、なぜ地域に目を向けるようになったのでしょう?

錦織監督

監督・脚本をした「守ってあげたい!」の島根キャンペーンのとき、地元の市役所に呼ばれる機会があったんです。そこで地域を案内してもらっていたら、子どもたちが集まってきて「こんにちは!」と元気よくあいさつしてくれました。今、都会ではいちいち子どもが大人にあいさつなんてしないじゃないですか。でも、気づけば自分も子どもの頃、通りすがる人たちにあいさつしていたなとハッとしたんです。自分には忘れてしまったものがある、と。そこから、山を眺めて、海を見て、地元の人と話すうちに地域の豊かさに気づかされたんです。

その出来事を経て、地域を見つめる視点はどのように変わっていきましたか?

錦織監督

だんだん自分にも、社会にも、先入観があると気づきはじめました。たとえば、島根って日本海側だから雨が多いと言われています。でも、実際はとても晴天率が高い。イメージとリアルにギャップがあることも多いんですよ。 だから、「都会」「地域」と括られると、勝手に先入観が生まれてしまう。その立ち位置自体を崩したいと思うようになりましたね。たしかに「便利さ」というものさしで比べると、都会より地域は劣るかもしれない。でも、本当はものさしっていくつもあるんですよ。たとえば、地域では神楽という伝統があります。

錦織監督

その稽古のときに、こどもたちがあいさつできなかったら、地元のおじいちゃんが親や学校の先生に代わって叱ってくれる。そんなコミュニティの風景ってある意味豊かさだと思っていて、私には輝いて見えるんです。 地域をネガティブに捉えることは簡単かもしれない。でも、ポジティブに捉えるものさしがあってもいいよね、と思いながら映画を撮り続けてきました。

一度失ったら戻らない豊かさを残していくために

ものさしが画一化されることで、どんな可能性がこぼれ落ちてしまうのでしょうか?

錦織監督

簡単に言うと、多様性が損なわれてしまうのではないでしょうか。そのときに何が起こるかというと、地域固有の“らしさ”とかアイデンティティを失ってしまう。たとえば、世界中の人が英語しか話さなくなったら、日本らしさは見えなくなってしまいますよね。 地域固有の“らしさ”とかアイデンティティって、そこで暮らしを営む人たちの“根っこ”。それがあるからこそ、生きる原動力になります。それって会社も同じことだと思うんですよね。「この会社はどうやって生まれてきたのか、何を目指しているのか」……そんな“根っこ”を共有している組織と共有していない組織では、生み出される力や価値も変わってくるような気がするんです。

まさに地域に“根っこ”を張って生きる人たちを描いた『高津川』で伝えたかった想いを教えてください。

錦織監督

「日本の地域には、こんなに素敵な場所が残っているんだよ」と、まずは伝えたいですね。そして、この高津川流域や地域について少しでも意識してもらうきっかけになれば、映画を製作した甲斐があると思います。何もすぐに地域に足を運ばなくてもいい。心が動くことが第一歩。そこがスタートラインです。豊かさって、実はそれまで知らなかっただけで、都会に出なくても身の回りにあるものなんだよ、と気づいてもらえたら嬉しいですね。

最後にメッセージをお願いします。

錦織監督

地域の豊かさは、1回失ったらもとに戻せません。裏を返せば、今の豊かさを残してくれたのは先人たちのおかげ、そして未来に残していくのは私たちの責任ということ。川で例えると、上流があるから下流がある。上流の人が川を汚さなければ、下流の人はその美しさを享受できます。 それってきっとさまざまな営みに通底するはず。たとえば、企業においても、先人たちの努力の結果、現在のかたちがあると言えるのではないでしょうか。タクミ商事も、これまで携わってきた人々の努力の積み重ねがあったからこそ、国内外で多くの信頼を得ている今があるはず。上流から下流まで美しく流れ続ける高津川のように、過去から今、そして未来に向けてずっとその歩みを続けていかれることを期待しています。

映画「高津川」オフィシャルサイト

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写真提供©️2019映画「高津川」製作委員会

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